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2016年6月の法語 [月々の法語]

今年の真宗教団連合カレンダーは、正信偈を意訳した『和訳 正信偈』から部分的に題材が取られています。
ですのでカレンダーの言葉だけを取り扱うと、正信偈をコマギレでお話することになってしまいますので、今年は正信偈を通してお話させて頂こうと思います。

正信偈は7文字で1行で、全体で120行の構成になっています。
6月は以下の12行をお話させて頂きました。

本師曇鸞梁天子 常向鸞所菩薩礼 三蔵流支授浄教 焚焼仙経帰楽邦
天親菩薩論註解 報土因果顕誓願 往還廻向由他力 正定之因唯信心
惑染凡夫信心発 証知生死即涅槃 必至無量光明土 諸有衆生皆普化

先々月、先月はインドの七高僧をご紹介してきましたが、今月からの3名は中国の高僧です。
今月は親聖人のお名前の一部にもなっている曇大師(どんらん だいし)です。

ここは正信偈の中でもドラマチックな部分なストーリーが描かれています。

曇鸞大師は「梁」の国の天子(皇帝)が菩薩と敬うほどの高僧でした。その曇鸞大師は仏教教典の研究に心血を注いでいましたが、病に倒れます。
「道半ばにして死ぬわけにはいかない」と考えた曇鸞大師は、道教の道士であり、当時随一の医学者・科学者であった陶弘景から不老長寿の秘法を学びます。

「不老長寿の秘法」と聞くと現実離れしていますが、陶弘景は医術者でもあります。おそらく曇鸞大師が学んだのは健康法ではなかったのでしょうか。

その教えを学び、意気揚々と歩む曇鸞大師の前に、インドからやってきた菩提流支が表れます。正信偈には「三蔵流支」と書かれていますが、三蔵とは仏教に広く通じた高僧を指し、またインドの言語から中国語にお経を翻訳した高僧の総称で、歴史上に多くの「三蔵法師」がいらっしゃいます。

さて、菩提流支は「少しばかり寿命を延ばしたところで、それが何だというのだ。この浄土の教えこそが、真の不老長寿の法である」と諭され、菩提流支は学んできた教えを焼き捨ててしまいます。

私などは、せっかく学んできた健康法なのだから、それはそれで利用すればいいんじゃないかと思ってしまいますが (^_^;)  きっと曇鸞大師と菩提流支の間には熱いやりとりがあったのでしょうね。

(以下妄想)
曇鸞大姉「やあ、菩提流支さん! 私はもっと仏教を研究するため、不老長寿の教えを学んできたよ!」
菩提流支「えぇ!? 5年や10年ばかり寿命が延びたからって何だって言うんです! 私たち仏道を歩む者は、生き死にの問題を超える道を求めてるんじゃ無いんですか! 浄土の教えにはそれが書いてあるんですよ!!」
曇鸞大師「そ、そうだな! もっともだ!! よし、不老長寿の法なんか焼いちゃうぜ!!」

とまあ、こんな調子ではなかったでしょうが、以降 曇鸞大師は浄土教の研究に没頭していくことになります。その中に、5月でご紹介した天親菩薩の著書を研究対象とするのですが、これは七高僧がそれぞれ独立した存在ではなく、先哲の教えを受け継ぎ発展させてきたことが示されています。
阿弥陀仏の教えをお釈迦さまが説き、七高僧が受け継ぎ、親鸞聖人に繋がっているという師資相承の流れが表されているのです。

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